ぬいぐるみを持った男が怖い。
特にそれが大衆的なキャラクターであればあるほど怖い。
私が通っていた高校は、小学部からある私立女子校だった。
私は高校から入学した。偏差値は60前半。
すごく賢いわけでもないけれど、みんな落ち着いて、お上品な子ばっかりで少々退屈だった。
この話は普通科の同級生から聞いたものだから、確かじゃないんだけど、たまに思い出して怖くなったり、怒りを感じる。
普通科の授業は、私たちのクラスとはまったく違う先生たちが担当していた。
向こうは体育の先生がアラフォーくらいの男性だった。
何度か見たことあるけど、顔立ちはジャニーズ風で、背があんまり高くなくて、頭のてっぺんが禿げていた。
だけど、女子校だったらアイドル扱いされてたかもしれない。
その先生はうちの生徒と3回結婚してるって言われてた。
3回だけでも驚きだけど、
プロポーズが三者面談で「お嬢さんをください。」というものらしい。
さすがにこの求婚は、生徒たちの間で盛られたんじゃないかと思う。
まだ高校生の娘の進路の話をしに行って、汚いオヤジから結婚させてくれと言われたら、普通の親はキレるだろうし、どこまで純粋な関係だったかなんて、誰も信じられない。
卒業後しれっと若い女と結婚して、妻が年齢を重ねた頃にようやく、その教師の気持ち悪さに気づいて離婚する...そんな流れだったんじゃないかと思った。だから学校もこの教師を処分できなかったのではないだろうか。
そして、一番怖かったのが
その体育教師は車で学校に通勤しているんだけど、ディズニーが大好きで、ディズニーのぬいぐるみを車にたくさん乗せていると言われていた。
私はその車をみたことないけど、
きっと、ディズニーを生徒と親交を深めるツールにしようとしたんだろうなと思った。
グルーミングのため。
この一連の話は、小学部からエスカレーターで上がってきた子から聞いた。
その子は決して、人の結婚を悪くは言わなかった、ただ事実として述べて
「ちょっと変よねえ」
と私に思わせるような語り口だった。
あるいは、まだ幼くて、違和感を言語化できなかっただけかもしれない。
私のいた女子校は、品の良さを美徳としていた。
怒鳴る子もいなければ、陰口を叩く子もいなかった。
でも、それは正しさじゃなかった。ただ、ジャッジしないだけだった。
「変よねえ?」と言いながら、変だと言い切る子は誰もいなかった。
女子校という温室。
そこに中年男教師がぬいぐるみを自分は無害な男という演出のために持ち込んできたのかなって私は感じてしまった。
ぬいぐるみは、無害さのアイコンとして機能する。だからこそ、武器になる。
この時から私は、いい年をした男がぬいぐるみを見せびらかすように持っているのをみると怖い。
下手な会談の呪いの人形より怖い。
呪いという見えない恐怖より
絶対に女の体に侵入してくる無垢を装ったペニスの方が脅威。
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