2026/02/26

自分のことで泣けない女の子

夢を見た。映画みたいな夢。
北野ブルーみたいな暗い映像だった。
夢の中で、私は家を追われた未成年だった。

理由はわからない。ただ、どうしようもなく悲しくて、パジャマで夜の道を歩いていた。ガラケーで同い年の彼氏に「会いたい」と打った。返信はこなかった。

暗い道を、とぼとぼ歩く。

彼を見かけた。青ざめた顔で車を運転していた。車に近づくと、彼は降りてきて、「お母さんが連れ子の弟を殺しちゃった」と言った。

私は泣いた。
なんて酷いことをするの、と。

そのときナレーションが流れた。

「この女の子は、自分のことで泣けない。人のことでしか涙が出ない。」

そこで目が覚めた。

起きた瞬間、ものすごく悲しくなった。
現実では、彼は返信をしていたし、私は家も追われていない。それでも、胸の奥がぐしゃっとなった。

私はよく、天真爛漫だと言われる。
30代になってもそう言われる。
それは褒め言葉なのか、未熟の宣告なのか、いまだによくわからない。

でも夢の中の私は、暗い道を歩いていた。

本当は、自分のことで泣けなかったのかもしれない。

優先順位の話をしても、倫理観を語っても、ロマンを分析しても、最後に残るのは「安心できる場所がほしい」という、どうしようもなく幼い願いだった。

それを口にすると、強さが剥がれ落ちてしまいそうで、いつも黙ってきた。

お母さんとずっと一緒にいたいと思う。でも一緒にいると消耗する。布団の中で丸くなっているときだけ、少し無防備になれる。

もしかしたら、完全に丸くなれる場所なんて、もうどこにもないのかもしれない。

そう思ったら、涙が止まらなかった。

苦しくなるくらい泣いた。

でも、泣いたら寂しさはなくなった。

夢のナレーションは間違っていた。

私は、自分のことで泣ける。

——— ©️DSH / 2026

2026/02/15

ポチャン。

昨日はバレンタインだった。

日本の女性から男性へチョコを贈る文化も好きだし、ヨーロッパの男性が女性にバラを贈る文化どっちも好きだ。
そもそも私は花を贈ることが好きかもしれない。

男性に花を贈ったことはないけど、女性の知人友人に花束をプレゼントしたり、庭で綺麗な薔薇が取れる時期にパーティーに呼ばれたら、ブーケを作って持って行ったりしていた。

バレンタインの出来事じゃないけど、
デートの待ち合わせにいつも15分くらい遅れてくる人がいた。

まあ、直前まで連絡取ってたし、
お腹が痛くて遅れるって連絡が来ていたので
全然気にしてなかった。
そもそもその人の家から遠いところで会ってたし。

だけど毎回、腹が痛いって連絡が来てて、
最初は遅れてしまうエクスキューズなのかと思ってたけど、
だんだん、どうしようトイレ混んでる、とか実況してきた。

ああ、こいつほんと脱糞こいてるんだ。
緊張感ないやつだなあ。毎回毎回。

って思ったら、
あだ名がうんこマンになって、
ドーパミンが切れた。

ロマンは、清潔なフィクションであってほしかった。

こういう男に薔薇は似合わない。
せいぜいトイレットペーパーだ。
しかもシングルロール。

——— ©️DSH / 2026