パリ留学中に出会ったお友達で、細身なのに、恰幅のいい私より大食いなゆきこちゃんという友達がいる。気持ちよくいっぱい食べるから一緒にごはんを食べると、楽しい。
ある日、パリのマルシェみたいな場所でアフリカ料理を食べることになった。
私たちは同じメニューを選んだ。
すでにできあがった料理を大皿からザッと盛りつけて提供する店で、それがいちばんおいしそうに見えたから。
パリの人は雑だ。トレーから料理をがばっとお皿にのせ、乱暴なほどの勢いでテーブルに運んでくる。
ゆきこちゃんの皿には卵がのっていた。
私の皿には、それがなかった。
「シコちゃん、卵の部分ないね? この部分だけ半分こしようか?」
そう言ってくれた。
断ったけど、何度も聞いてくれた。
すごく優しい子だなと思った。
私は、“運の偏り”を、そのままおいしく平らげた。
ゆきこちゃんは「ひとくちちょうだい」を滅多に言わない子だった。
言っても、お互いに違うワインを頼んだときに、少し味見し合うくらい。
私も食いしん坊だからこそ、「ひとくちちょうだい」は仲の良い子にしかしない。必ず、交換条件で。
今、ゆきこちゃんは日本に一時帰国中。
「会おうね」って話してるけど、会えるといいな。
久しぶりに、優しい偏りを分け合いたい。
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