2025/10/04

レゲエを聴きながら紅茶を啜る

肌寒い風が吹いても、耳はまだ夏にしがみついている。レゲエのリズムに。

風邪を引かないよう、はちみつと生姜を入れて紅茶を飲みながら。


紅茶と言えばイギリス。

英国式の朝には、コーヒーではなく、紅茶が出てくる。


英国人が紅茶を好んだからじゃない。

東インド会社が、コーヒーの貿易を許さなかったからだ。

だからイギリス人は、好きで紅茶を飲んでいたわけじゃない。帝国の事情で仕方なく、気取って啜る羽目になったのだ。


今ではその苦みは、シティのビジネスマンの内ポケットに沈んでいる。


日本では、いまだにアフタヌーンティーが流行っている。

プリンセスが嫁いできたとき、イギリスに持ち込んだ、貴族の午後の暇つぶし。

女だけの、優雅で、砂糖のように甘い時間。


でもイギリスには、ハイティーというもうひとつのお茶の時間があった。

労働者の、夕方のお茶。

高いテーブル。

冷めた肉料理。

疲れきった手。

誰もそれを伝えようとはしない。

労働は、美しさから遠いから。


パンクは尖りすぎて言葉を失い、レゲエは煙の向こうに別の真実を見ている。

0 件のコメント:

コメントを投稿

気軽にコメントどうぞ。
返事はしません。でも、読んだら笑うかも。