2017/10/10

紅茶と不幸の蜜

真夜中に紅茶を淹れた。最近のお気に入りの茶葉はパリでイラン人がやってるサロン・ド・テで特別に売ってもらったイランのセイロン茶葉だ。

あまり知られてないけれど、イランは紅茶の名産地らしい。
確かに普通の紅茶と香りも味も全然違う。今淹れて飲んでる紅茶も格別に美味しい。
しかし私の紅茶が特別美味しいには、品質とか以前に理由がある。

夏にパリに行き、日本人の友達と久々に会った時、一緒に入った店で頼んだ紅茶のあまりの美味しさにお店の人にどこで売ってる茶葉でどうやって淹れてるのか聞きたくなった。久しぶりに話すフランス語が通じなかったら嫌だなと思い、もう2年もパリにいる友人に聞いてみてくれないか頼んだけど、「嫌だよ。自分で聞きなよ。」と彼女もさっきまで知りたがっていたようなのに、冷たく突き返された。

仕方なく、茶店の店主に一人で話しかけに行くと、こんなこと聞くのが珍しいのか嬉しそうに色々教えてくれて、店で使ってる紅茶を特別に安く売ってもらえた。
そこに友人が現れて、 私にも売って と店主に言ったけど、 これは彼女(私)にだけなんだ。 と冷たく返されてしまった。とても残念そうな顔をする友人。

紅茶が買えた自分と買えなかった友人を見て少し申し訳なくも思ったけれど、正直 ザマアミロ とも思ってしまった。

だからこの紅茶を飲むと友人の少しの不幸を思いだす。この紅茶にはすでに人の不幸の蜜が加わっている気がする。だから余計においしいのかもしれない。

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