数年前、Clubhouseっていう一瞬だけ流行った音声SNSで、ある県議の人が話していた奇妙な話がある。
信じてないけど、オカルトが好きなタイプらしい。
私が今も忘れられないのは、その中で語られた、“予言ファイル”のことだ。
その人が話してくれたのが、同志社大学出身の山田くん(仮名)の話。
山田くんはちょっと変わった人で、ホームレスや日雇い労働者、いわゆる「普通のレールから外れた人たち」とやたら打ち解けるのがうまい人だったらしい。
大学を出ても就職せず、「西成で日雇いやってみたい」とか言い出して、本当に行った。
最初に朝9時に行ったら、「そんな時間に来ても仕事ないで」って言われて、次の日はちゃんと早起きして6時に現場へ。
その日から何日か、山田くんは日雇いの人たちと一緒にトラックである場所に運ばれることになった。ついた先は、物流用のコンテナを製造してる工場。
何日も何日も、ひたすらそこで働いた。
ある日、工場長に言われたそうだ。
「君、えらいテキパキしてるな。もしかして義務教育、受けてる?」って。
それ聞いて私も吹き出しそうになったけど、山田くんは「いちおう大学出てます」と言ったらしい。
すると工場長が「じゃあちょっと別のことやってほしい」と。
連れて行かれたのは、中央制御室みたいな部屋。中にはパソコンが置かれていて、
「このソフトを使って、毎日コンテナが何個できるか予測してくれ」と。
使い方は棚にあるマニュアルを読んでね、とだけ言われた。
最初はさっぱりだったけど、読み込んで試行錯誤するうちに、少しずつ当たるようになっていった。
ある日、山田くんが出した予測がほぼ完璧に的中した。
工場長に褒められて、嬉しくなってもっと精度を上げたくなった山田くんは、資料棚を漁りはじめた。
そこで見つけたのが、「そのソフトを作った人の予測が記録されているファイル」だった。
“ズル”だと自覚しつつも、試しにその数字を提出してみたら…完璧に当たった。
次の日も、その次の日も。
でもさすがに怪しまれて、工場長に聞かれた。
「お前、このファイル見たやろ?」って。
正直に「はい」と言うと、工場長はこう言ったという。
「これ作った伊藤さんな、それやり出してから発狂して辞めてしもたんや。」
そのファイルには、全国の都市の物流予測が記録されていて、
東京だけ、**「2025年8月31日以降、すべての数値が0」**になっていた。
何も動かない。何も届かない。
山田くんは、それを見て「東京が壊滅するような地震がくるんじゃないか」って言っていたという。
—
その話をしていた県議の人は、「これはよくできた話だと思う」と笑っていた。
私も「たしかにうまくできすぎてる」と思った。
SNSでは「今年の7月5日になんかある」とかいう話題があったけど、結局なにも起きなかった。
だからこそ逆に、8月31日がちょっと怖い。
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返事はしません。でも、読んだら笑うかも。