2025/05/30

小田原ブレーキングラブストーリー

中銀カプセルタワーの壊れた一室に住み、自分のことをデザイナーズマンションのオーナーだと自称する浅ましい男と、秘宝館目当てで熱海に旅行に行くことになった。

そのカプセル野郎に宿の手配を頼んでおいた。私より年上だしね。


なんとなく、旅行の日程が近づくまでの間、毎日向こうからきてた連絡が薄いのに嫌な予感を感じていたが、秘宝館に行きたかった私は放っておいた。


約束の金曜日の夕方、新宿からロマンスカーに乗った。宿が取れた場所が小田原だったとか言われたので、電車を乗り換えて小田原で降りた気がする。

宿に行くまでに小汚い連れ込み宿みたいなのが見えてここだったら嫌だなって思ったけど、到着したのはAribnbで借りたアパートの一室でほっとした。

荷物を置いて、夕飯を食べにでかけた。ここまで書かなかったけど、カプセル野郎はどこか空元気だった。だから素直に別れたいのか聞いたら、そうだと言われて、それなら旅行に来る前に言えよとキレた。


腹が立ったから居酒屋でお酒をガブガブ飲んで、スナックに連れてけ、と命令した気がする。


スナックがたくさん入った場末感のあるビルがあった。そこに CHANCE というお店があった。どこかシャネルの偽物を感じさせるロゴだった。

ドアを開けて、入ったら一見さんお断りと言われたけど、私たち今日別れたんです...と言うと、じゃあいいよ。とお店に入れてくれた。


綺麗なママだった。

カプセル野郎にむかついたから、お金いっぱい使わせてやろうと思って飲んだり歌いまくったりした。


気づいたら、宿泊先のアパートの一室だった。

すやすや寝てるカプセル野郎を叩き起こして、馬乗りになって頬を両側から、平手打ちを何発もかましてやった。


別に別れるのは構わなかったし、でもわざわざ旅行先で言わなくてよくない?と思って泣いてしまった。


泣いたら、ごめん、君みたいなタイプでもそうなっちゃうんだ、泣かないと思った。とか言われて余計に腹たった。

他にも色々したけど、少し経って寝た。


起きたら、昨夜のお酒のせいですごく具合悪かった。

部屋の片隅に私が吐いたと思われるゲロがビニール袋に入ってたので、コンビニに捨てに行った。それで水とか冷たいコーンスープとか買って飲んで、お風呂に入って、男を起こした。


男が、昨日叩かれたせいで顔が腫れちゃったのかと思ったけど、浮腫んでるだけだった〜笑、みたいなつまらないことを言ってたので無視した。


その後、熱海に行って、秘宝館を観て、温泉に入って東京に帰った。


新宿駅で別れるとき、カプセル野郎が

大丈夫?死んだりしないでね。とか言ってきたので、お前ごときで死ぬのもったいなさすぎ!自惚れんなよ!と言いながら相手の肩をバンバン叩いて、笑いながらさよならをした。


小田原とか秘宝館とかがこいつのせいで嫌な思い出になったら嫌だなって思った当時だったけど、今はあんまり思い出せない。

ただCHANCEという言葉を聞くと、いつもあのスナックを思い出す。

酔っ払って覚えてないけど、私はセンチメンタルジャーニーを3回も歌っていたらしい。


人生はセンチメンタルジャーニーだね。

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