この墓地は少し田舎にあり、変質者が出ると生前大叔母が言っていた。
誰もいない墓地で大叔母が昼の3時頃、お墓の掃除をしていると
「裸を見せてくれませんか?」
と近寄って急に言ってきた男性が居たらしい。ちなみにその時、 大叔母は既にヨボヨボのおばあさんだった。
怖くなった大叔母は叫んで何かされたら怖いと思い、機転を利かせ
「なあに言ってるんですか、ご冗談を」
と言って笑うと、
「そうですよね~笑」
と相手が言える雰囲気にして事なきを得たという。
今回お墓に訪れてみると、 前回にはあったはずの灯篭が盗まれていて、 ここは変質者だけでなく墓荒らしも出るみたいだった。
大叔母の兄である祖父は
「立派な灯篭だったのになあ」
と悔しそうだった。
私は盗まれた灯篭がどこへ行ったのか気になった。 他人の墓から盗んだものが転売されて、 それを知らずに買う人がいたら、不憫だなぁなんて。
11時からお坊さんが来て、お経を唱えるはずだけど、 お坊さんはなかなか来なかった。
その日の墓地はお母さんが「にぎやかだね。」 とか言ってしまうほど、人が多かった。
家族の墓参りをしている人、6月中旬とは思えない寒さの中、Tシ ャツ短パンでランニングをしている人、 あとは周りをキョロキョロしながらウロウロしている障害者。
たくさんの人がいた。
死んだ後、人はどんな景色を見るのだろうか。
無の世界とか生前の行いによって天国や地獄に行けるとも聞くけれ ど、 遺灰などが置かれる場所の風景しか見れないのは少し嫌だなと思っ た。
どうせ塵になるなら風に乗って漂いたい。
おわり
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